秀句: 1997年
1998年
1999年


2000年水煙秀句高橋信之評 


◆1月号◆

手袋に手を入れ五指を広げみる/高橋正子

一読して作者の個性を読み取ることが出来ます。言葉遣いの平 明さも、この個性に力強さを与え、作者の主体性には何の揺る ぎもありません。とても快い俳句です。          


◆2月号◆

暖炉の火の揺らぎの満ちて子の寝顔/日野正人

この句は、五七五のリズムをうまく使って一日の終りの安らぎ を表現しています。上五が六音の字余りとなって緊張があり、 中七の「満ちて」に続く下五の「寝顔」という安らぎのイメー ジによい効果を与えています。はじめに緊張があって、終わり を安定させているのです。一句の終りを体言で切ったのも成功 しました。                       


◆3月号◆

冬帽の赤青黄色鬼ごっこ/堀佐夜子

歌いたくなるようなリズムがありますね。子どもの心に戻った
喜びに読者もともに喜ぶことができ、嬉しくなります。芭蕉の
「俳諧は三尺の童にさせよ」といった言葉を思いだしました。


◆4月号◆

マスクより笑い零れて膨らむ話/森 隆博

こころの自由があって、在り来たりの句にはない良さがありま
す。読み手に快い開放感を与えてくれます。        


◆5月号◆

影濃くて春の動きの鬼ごっこ/吉田 晃

芯がしっかりして力のある句。日々の生活の中で俳句を作る、
という持続する行為が精神を強いものにさせているのです。


◆6月号◆

穂を持って麦は青さを日に返し/相原弘子

作者の弘子さんは、自然の中心に居て、ひろびろとした世界を
うまく捕らえました。作者の位置がはっきりしています。  


◆7月号◆

風青し麦の穂波の青ければ/守山満樹

私の好きな句で、目の付け所が並ではなく、深いところを見て
います。                        


◆8月号◆

鯉幟上手い具合に山の風/古田けいじ

作者の生活を詠んだものではなく、風景を写生したものですが
、ここで使われた言葉、「上手い具合に」には、作者のはっき
りした思いが込められていますので、とても力強い句になりま
した。                         


◆9月号◆

咲きかけの黄薔薇とアンネフランクと/古田けいじ

「黄薔薇」と「アンネフランク」との取り合わせがいい。作者
の思いが伝わってくる。                 


◆10月号◆

うまおいが来るパソコンの明るい部屋/吉田 晃

「うまおい」と「パソコン」との取り合わせを「明るい」もの
として捉えた。そこがユニークである。          


◆11月号◆

鰯雲見上げるポプラのその上に/霧野萬地郎
 
とらわれのない広々とした風景は、日本のものであって、また
世界のどこかで見ることの出来るものでもある。      


◆12月号◆

露草の青い空気へ車椅子/堀佐夜子
 
「車椅子」の生活のすべてを言い尽している。不自由な生活で
感覚が鋭敏になり、物が見えている。           


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