■平成9年水煙秀句/高橋信之評■




■1月号■

秋夕焼まわる地球の水平線 松本 功

俳句が大きく、そしてユニークである。



■2月号■

此処まで登ると向いの山も秋ですね 小西鷹王

口語的現代語表現を生かした佳句。



■3月号■

ポケットに詩がある男のクリスマス 八木泰子

言葉そのものが平明なので、言葉が直に読み手の心に届いて、作り手の気持ちが伝わってくる。



■4月号■

この世は愉し冬木に声かけてゆく 長島玉子

水煙の俳句は、世俗的な思わくが働いていないのが良いのです。



■5月号■

春光に包まれし身のときめきよ 藤田洋子

とらわれのない内部から生まれた初々しい輝きは快い。



■6月号■

子等わっと出てきて花の散る中に 脇坂公司

575とは違った軽い切れがいくつもあって快い流れとなっている
のが良い。新学期の子ども達のいきいきとした様子が楽しい。



■7月号■

話しておれば「あらリラが匂うわね」 松本かおる

日常生活での新鮮な句。リラは季節が来ると必ず咲き
そして匂ってくるのは珍しいことではないが、それに
心を動かされたことで詩が生まれた。


■8月号■

ベネチアングラス乾杯夏の訪れに 岡本栄一

この句の良さは、不要なおしゃべりのないことで、多くを語
ってはいないが、それでいて、直に伝わってくるものがあり
、それが読み手の心の中で快くふくらんでくる。


■9月号■

昼ね児の姿態大空飛ぶように 野上哲斉

この句の明るさは、選をする私の心を明るく楽しくしてくれる。憂さ晴ら
しの馬鹿騒ぎではない、生活に深く根差した明るさを求め、しかも、それ
を他人に分け与えるということは、なかなか出来ないことである。


■10月号■

蝉の樹の天はからっぽ朝すすむ 松本 功

従来の俳句からは、ぎこちないと見られるかもしれないが、文句なし
にわたしの好きな句。空間と時間の重なりがうまく表現できて、俳句
における季感の素晴らしさを教えてくれる。夏の朝がいかんなく表現
されている。わたしの求めている「明るくて深い俳句」。


■11月号■

くっきりと雲まっ白に秋が来た 八木泰子

日常のありふれた生活の中での感動を素直に表現した句。特別な技巧は
ないが、それだけに作り手の受けた強い感動がそのまま直に読み手に伝
わってくる。現代語的口語表現の良さを充分に見せている。


■12月号■

稔り田となる楽しみの朝歩き 井上ミ ツ

生活の中の季節感をうまく表現してた佳句。
秋の季節となった心地よさが読み手にさわやかに伝わってくる。
季節を詠むということは、そのときどきを生き生きと過ごし、
日常の生活を充実させることである。


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